井上農園 瀬戸田農場
INOUE FARM
株式会社食元の経営する「井上農園 瀬戸田農場」では、瀬戸田町で唯一、有機JAS認証※を取得し(認証機関:オーガニック認証センター、OCC)、瀬戸田産の「有機レモン」、「オーガニックレモン」として生産・販売を行っています。
2014年11月よりかんきつ生産を開始し、約3haの圃場を管理しています。
「有機レモンの増産」のため、毎年少しずつ古いみかん畑の木を伐採し、レモンの若木を植え、改植を続けてきており、現在では経営面積の2/3がレモン畑、2022年には約1haの有機レモンの生産圃場になります。
その他、早生みかん、いしじみかん、不知火、はるみ、などのかんきつ類も生産しており、順次オーガニック認証柑橘を増やしていき、事業規模を拡大していく予定です。
有機JAS認証とは
有機農産物の日本農林規格に定められる「農業の自然循環機能の維持増進を図るため、化学的に合成された肥料及び農薬の使用を避けることを基本として、土壌の性質に由来する農地の生産力を発揮させるとともに、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した栽培管理方法を採用したほ場において生産すること」に基づき、登録認証機関が認証する制度です。
有機農産物は、昨今ニーズは高まってきていると考えていますが、
普段店頭に並んでいるものより、「価格が高い」「外観が悪い」「味が違うの?」「安心安全な感じはするけど、一般のものと比べて栄養価などが変わるの?」「健康にいいの?」といったことをよく耳にします。
当農園では、これらを課題として捉え、
①外観品質にこだわり、
②含むべき栄養価をきちんと含んだ農産物を提供する
特にこの2点を意識して日々生産現場での有機栽培に取り組んでいます。
~外観品質をあげるために~
畑には、カビや細菌などの微生物から、ダニ、昆虫の幼虫や成虫など、さまざまな生き物が生息し、レモンの生育に良い働きをするものだけではなく、悪い働き(例えば果実の外観を悪くするなど)をする生き物も多く生息しています。
代表的な病気としては、黒点病やかいよう病、訪花害虫、アザミウマ類、ダニ類(サビダニやホコリダニ)、カミキリムシなどがあげられます。
外観品質を求めるうえで、これらの対策を講じるため、
病害虫対策については、耕種的、物理的、生物的に防除を実施しています。
化学合成された農薬や肥料、除草剤などは一切使用せず、有機JAS規格において使用可能な農薬(化学合成されていない、天然由来の成分であり、製造工程において化学的処理のされていないもの。例えば銅剤、石灰、硫黄剤など)や微生物資材を適時適切に使用し、外観品質を上げることに努めています。
~栄養価について追及する~
昨今、さまざまな農産物の「栄養価」が低くなっていることを問題視する声があります。
無農薬だから、有機だから、農薬を使うから、使わないから、といったことで、農産物に含まれる栄養価が下がったり上がったりするわけではなく、やはりその主な原因は「土」の状態にあると思っています。
人間は食べることで運動し、考え、睡眠し、生命活動を行います。
その食べ物の栄養バランスが悪いと、さまざまな病気を引き起こしやすくなります。
植物は、太陽の光エネルギーを使って、葉で「光合成」をして水と二酸化炭素からグルコースなどの炭水化物を合成し、自らの体を作ったり、エネルギーとして利用したりして、生命活動を行い、成長し、(レモンは種を含んだ実をつけ)子孫を残していきます。
この「光合成」には、根から吸い上げたさまざまな養分、ミネラル類、微生物などが複雑に作用して働いており、この養分のバランスが悪いと、光合成の能力が十分に発揮されることはなく、生育に悪影響を及ぼします。
そのため、土壌の養分バランスを適切な状態に保ち、且つそれらを吸収しやすい状態を作ることで、光合成の能力を最大限に発揮させることができ、虫や病気に強くなったり、収穫物の栄養価も高いものになります。
そのため弊園では、年に一度、畑の土の栄養状態を把握するため、土壌分析を行い(現在は分析機関に依頼)、人の経験値による感覚や勘だけでなく、どんな養分がどのくらい足りていないかを数値として可視化し、それに基づいて、施肥計画を立て、ミネラル類(カルシウム、マグネシウム、鉄、マンガン、銅、亜鉛、ホウ素など)やアミノ酸肥料、堆肥等の適切な施用量や施肥時期などを決めたうえで、肥料を施し、土壌の栄養状態がレモンにとって適切になるようにバランスをとり、収穫物の栄養価を高めるよう努めています。
~生産者として常に技術の向上を図る~
そのように栽培し収穫したレモンが、栄養価がどのようになっているのか、こちらも年に一度(4月)含んでいる栄養価を数値として評価するため、栄養価分析をします(分析機関に依頼)。その分析データはいわば、その一年の「成績表」のようなものです。
その分析データや、収穫量、外観の良し悪し、土壌分析データや施肥記録、作業記録などの「結果」から何故うまくいったか、いかなかったか、考察したり仮説を立て、その一年を評価し、次期作に向けてのどのように改善するか、栽培方針を決定します。これを毎年繰り返すことでより実用的なデータを蓄積し、より高品質なレモンの安定生産を目指しています。